原子炉における限界熱流束評価の現状とこれから; 「原子炉における機構論的限界熱流束評価手法」研究専門委員会の概要

吉田 啓之

no journal, , 

原子炉設計における燃料の限界熱流束評価は、炉心の熱的余裕ひいては安全を確保する上で最も重要な項目の一つである。燃料の限界熱流束は燃料集合体構造等に大きく依存し、実際の燃料形状などを模擬した大規模試験により関連データを取得している。しかしながら、そのような試験は多大な費用と期間を必要とすることなどから、大規模試験に依存しない限界熱流束評価のための技術開発が望まれている。近年、計算機性能の飛躍的向上及び数値解析技術の進展により、沸騰二相流現象に対する詳細な数値シミュレーションが実現され始めている。また、新しい熱流動計測技術の開発が進められており、限界熱流束条件下での詳細な二相流動計測によりその現象が把握されつつあり、将来的には限界熱流束評価に適用できる数値シミュレーション技術の開発が期待される。このような状況を受け、熱流動部会及び計算科学技術部会の御協力の下、平成30年12月に研究専門委員会が設置された。本報告では、本研究専門委員会の概要を示すととともに、これまでの活動内容について紹介する。